ワシは、母を月に1回病院に連れて行く。
もう80歳を過ぎているのでな。一人じゃもう無理なのだよ。
はっきり言うとワシはあまり両親のことは好きではない。天下の親不孝息子なのだ!
子供の時の記憶は、あまり良い思い出がないしな。
母は父の事は嫌いである。子供の頃から聴かされている。ワシも嫌いだ。
母は父の言うことなど聞かない。ワシの言うことは聞くけどな。
ラッパ飲みとは・・。こんなオヤジはいない!
母は、なんと去年の7月まで働いていた。働き者なのである。
辞めて、予想通り痴呆が進んだ。数年前からかなり怪しかったけどね。
驚いた事に、あの星一徹ばりの父が全てをこなしている。
母がわがままと言うか訳のわからんこと言うのだが「参ったなぁ。」と言って受け入れているのである。
父は母に「俺がいなくなったら、お前一人だぞ。しっかりしないと。」と言ったそうだ。
母は「お父さんどこか悪いのかしら。」そういう意味ではない。しょうがないなぁ・・。
本当は優しい男なのである。が、口下手な男だから・・。
こんな話を聞くと聞こえは良いが、そんなもんもう遅いわ!遅すぎなのである。
やらないよりマシだけどな。こんなもんで長年の帳尻が付くと思ったら大間違いである!
今でも父の声を聞くと訳もなくイライラするのだ。ワシもそうならんよう気を付けんとな。
先日、母を車に乗っけて病院に行った。
母が「なんでこんな病気になっちゃたんだろうねぇ・・。」
「病気じゃないよ。みんな年を取るんだ。ワシもそこら辺に歩いている人もみんな。」
母は、「そう。」と言って笑みを浮かべたように見えた。
病院から母を連れて帰ると父は出かけており、お膳の上に大き目なおにぎりが1個お皿に乗っていた。
ちゃんとサランラップが巻いてあった。
母は、「なんだかんだ言ってお父さんは優しい人だから。」と喜んでいた。
ワシは、昔から母が喜ぶと何故かホッとする。
なんだかなぁ。わけわからん!父は遅すぎだけど、人生に帳尻が付かない事などないのだな。
親というのは凄いのう。80歳過ぎてもワシに教えてくれるのだから。
子供の頃はわからんかったが母もかなりのキツイ性格なのである。全くどっちもどっちの夫婦なのである。前から気づいていた。
全く、めんどくさいのぅ~(´~`)!